双眼鏡の選びかた

双眼鏡の選びかた

こんにちは、NATURE CLIPS事務局長のKです。これまでたくさんの自然環境調査をしてきた経験を踏まえて、バードウォッチング初心者の人でも失敗しない、双眼鏡の選びかたをご説明します。

 

1.バードウォッチングの魅力

自然の中でさえずる鳥たちの姿や鳴き声に耳を傾けることは、都会の喧騒から離れ、心を穏やかにする癒しの時間となります。バードウォッチングは、そんな鳥たちの生態や美しい姿を間近で観察することができる素晴らしい趣味です。四季折々の風景とともにさまざまな鳥たちを見ることができ、その都度新しい発見や感動があります。また、鳥の種類や生態を学ぶことで、自然とのつながりを深く感じることができるのも、この趣味の魅力の一つです。
ですが、その魅力を最大限に感じるためには、適切な装備が必要です。その中で最も重要なのが双眼鏡です。この記事では、バードウォッチングを始める初心者の方に向けて、双眼鏡の選び方について詳しく解説していきます。
 

2.双眼鏡の基本: 倍率と口径

倍率とは?

双眼鏡の倍率は、双眼鏡が対象物を拡大する程度を示します。一般的に、倍率は双眼鏡の最初の数字で表されます。例えば、8x32の場合、倍率は8倍です。倍率によって適正用途が異なります。

低倍率(例: 8x):

低倍率の双眼鏡は広い視野を提供し、手ブレが少ないため、広い範囲の景色を見るのに適しています。バードウォッチング、スポーツ観戦、舞台観劇など、動きの速い対象物を観察する際に優れた選択肢で、汎用性が高い倍率です。また、夜空の星座や月を観察するのにも適しています。初心者の方、迷った方は8倍を選ぶことをお勧めします。

中倍率(例: 10x):

中倍率の双眼鏡は、広い範囲を見渡しつつ、対象物をより近くで詳細に観察するのに適しています。野鳥観察や自然の景色を楽しむ際に良いでしょう。手ブレに敏感な人は、三脚を使用することでより安定した観察が可能です。

高倍率(例: 12x以上):

高倍率の双眼鏡は、遠距離の対象物を拡大して観察するのに適していますが、手ブレの影響が大きくなります。そのため、静止した状態での観察や三脚の使用が必要です。天体観察や遠方の山々を観察する際に有用です。
 

口径は大きければ良い?

口径と明るさ:

口径は、双眼鏡の対象物に入る光の量を決定します。口径が大きいほど、より多くの光が取り込まれ、暗い環境での観察が向上します。星座や夜空を観察する場合、口径の大きな双眼鏡は暗い星や星座をより鮮明に見るのに役立ちます。

口径と収束距離:

口径が大きいと、双眼鏡の収束距離も長くなります。双眼鏡の収束距離とは、両眼で見た画像が1つの統合された像になる距離のことを指します。双眼鏡を通して見た物体が、両眼で見たときにぴったり1つの画像として見える距離を指します。この距離では、立体視が最もクリアになり、景色を立体的に認識できます。高倍率の双眼鏡には口径が大きいものが多く、手ブレの影響に注意が必要です。

注意:

倍率と口径はトレードオフの関係にあります。高倍率の双眼鏡は対象物をより拡大できますが、手ブレの影響が大きく、明るさが低下することがあります。適切な倍率と口径のバランスを見つけることが、最適な用途に合った双眼鏡を選ぶ鍵となります。

 

3.初心者が陥りやすい高倍率の双眼鏡の罠

高倍率の双眼鏡は、目的物を大きく見ることができるため、一見魅力的に思えます。しかし、初心者が高倍率の双眼鏡を選ぶことにはいくつかのデメリットがあります。

手振れの影響 :

倍率が高いと、手の微細な動きが強調され、画像が不安定になりやすくなります。これは特に長時間の観察で疲れを感じる原因となります。

視野の狭さ :

高倍率の双眼鏡は、視野が狭くなりがちです。狭い視野では、鳥を見つけたり追いかけたりするのが難しくなります。

明るさの低下 :

倍率が高いと、双眼鏡の明るさが低下する傾向があります。これにより、夕暮れ時などの低光量環境での観察が困難になることがあります。
 
 

4.初心者のバードウォッチングにおすすめのスペック

バードウォッチングを始める際には、適切な双眼鏡を選ぶことが重要です。その中でも、8倍の双眼鏡が初心者に特におすすめなのですが、その理由について詳しく見ていきましょう。
 

倍率は8倍が最適

適切な拡大率:

8倍の拡大率は、遠くの鳥をしっかりと観察しながら、それほど拡大しすぎずに鳥の動きを追いやすいです。例えば、木の上に止まっている小鳥を見る場面を考えてみましょう。8倍ならば、鳥の羽の模様や瞳の色などをしっかり観察できる一方で、突然飛び立ったときにも、その動きを見失わずに追い続けることができます。

手振れの少なさ:

高倍率の双眼鏡は手振れが目立ちやすくなりますが、8倍ならば、手振れを最小限に抑えつつ観察することが可能です。
 

32mm口径は、明るさ大きさのバランス良し

明るさと携帯性のバランス:

口径32mmは、充分な明るさを持ちながらも、大きすぎず重くなりすぎないというメリットがあります。例として、夕暮れ時や曇天下での観察を想像してみてください。このサイズならば、それほど明るくない状況でも比較的鮮明に鳥を観察することができます。また、山間部や森林を歩く際にも、重さや大きさでの負担が少なく、持ち運びやすいです。

広い視野:

口径が大きすぎると視野が狭くなりがちですが、32mmの場合、適度な視野の広さを保持できます。これにより、鳥の飛ぶ姿を広範囲でキャッチしやすくなります。
 
 

5.重さとサイズの選び方

バードウォッチングにおいて、双眼鏡の重さは非常に重要な要素となります。特に長時間の観察や移動を伴う場合、適切な重さの双眼鏡を選ぶことが快適な観察活動のための鍵となるでしょう。

8×32の双眼鏡:

疲れの軽減: 8×32の双眼鏡は、そのバランスの良いサイズと重さで、長時間の観察でも腕や首への負担が少なくなります。特に、野鳥が現れた際の迅速な動きや、高い位置での鳥の観察では、重い双眼鏡だと疲れがすぐに訪れてしまいます。しかし、8×32のような適切な重さのものを選ぶことで、疲れによる手振れや目の疲れを大幅に軽減することができます。

持ち運びの容易さ:

8×32はコンパクトなサイズであり、ハイキングや移動をしながらのバードウォッチングにも適しています。重すぎる双眼鏡は移動中の負担となり、その結果として、頻繁に観察のチャンスを逃してしまうことも。一方、8×32の双眼鏡なら、サイドポケットや小さなバッグに収納して、すぐに取り出して使うことができます。

安定した観察:

重すぎる双眼鏡は、持ち上げて目に当てたときの安定性が低下し、特に風の強い日などでは手振れが生じやすくなります。8×32の適切な重さは、安定した観察をサポートし、鳥の細かな動きや特徴をしっかりと捉えるのを助けます。

以上の理由から、8×32の双眼鏡は、その重さとサイズがバードウォッチングにおける快適さや観察の精度を高める要因となっていると言えます。

 

6.防水・防塵機能の重要性

バードウォッチングの場面では、悪天候や自然の環境条件にさらされることが少なくありません。そのため、選ぶ双眼鏡が防水性と防塵性を備えていることは非常に重要です。以下に、防水・防塵機能の重要性を具体的な事例を挙げながら説明します。 

シーン1:雨の日の観察

バードウォッチングを楽しむ際、雨が降ることは珍しくありません。通常の双眼鏡では雨に当たると水滴がレンズについてしまい、視野がぼやけてしまうことがあります。しかし、防水性のある双眼鏡なら、雨に濡れても安心。水滴をはじくように設計されているため、観察を続けることができます。例えば、雨の中で現れる珍しい鳥やその行動を見逃さずに観察できるでしょう。

シーン2:湿度や埃の多い場所での観察

湿度の高い場所や、林や草原などの自然環境では、埃や微粒子が舞い上がることがよくあります。双眼鏡のレンズや内部構造にこれらの微粒子が侵入すると、視界が不明瞭になり、双眼鏡の性能に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、防塵性のある双眼鏡は、埃や微粒子の侵入を防ぐため、クリアで鮮明な視界を維持します。

シーン3:湖や海での観察

湖畔や海岸でのバードウォッチングも楽しい経験ですが、水しぶきや潮風にさらされることがあります。通常の双眼鏡では、水滴や海水成分がレンズに付着し、視野が乱れることがあります。防水性のある双眼鏡は、水中で使用するわけではありませんが、水からの影響を受けずに観察を楽しむことができます。
 
これらの事例からも分かる通り、防水・防塵機能はバードウォッチングにおいて非常に重要です。環境に左右されず、安定した観察を続けるために、この機能を備えた双眼鏡を選ぶことをおすすめします。
 
 

7.アイリリーフの確認

アイリリーフとは、双眼鏡のアイピースから眼までの距離を指します。アイリリーフが長い双眼鏡は、眼から双眼鏡までの距離が長く取れるため、眼鏡をかけている方や眼が突出している方にとって非常に重要です。アイリリーフの選び方について、何に注目すべきか、以下に示します。

アイリリーフの数字:

アイリリーフはミリメートル(mm)で表記されます。例えば、8x32の双眼鏡のアイリリーフが15mmであれば、眼から双眼鏡までの最大距離は15mmとなります。この数字が大きいほど、双眼鏡を使う際に眼との距離が確保しやすく、快適な観察が可能です。

眼鏡をかけている場合:

眼鏡をかけている方は、特にアイリリーフに注意を払う必要があります。アイリリーフが十分に長い双眼鏡を選ぶことで、眼鏡をかけたままでの観察が快適に行えます。通常、眼鏡をかけている方には、アイリリーフが15mm以上あるモデルが適しています。

アイリリーフの長さと視野:

アイリリーフの長さは、眼との距離を確保するだけでなく、視野(見える範囲)にも影響を与えます。アイリリーフが長いほど、視野が広くなります。バードウォッチングでは、広い視野が周囲の状況をより広く捉えるのに役立ちます。アイリリーフの長さと視野のバランスを考慮しながら、最適なモデルを選びましょう。

注意:アイリリーフが短い場合

アイリリーフが短い双眼鏡は、眼からの距離が狭くなるため、眼が双眼鏡に接触してしまうことがあります。これにより、視野が制限され、観察が不快になる可能性があります。アイリリーフが短いモデルは、通常、眼鏡をかけていない方向けです。
 
  

8.価格帯とブランド

バードウォッチング用の双眼鏡を選ぶ際、価格帯とブランド選びも重要な要素です。ここでは、価格とブランドについてのポイントを説明します。

価格と光学性能の関連性

一般的な原則として、双眼鏡の価格とその光学性能は一定の関連性があります。高品質の光学素材や精密な製造プロセスはコストがかかります。そのため、あまりにも安価な双眼鏡は、光学性能において優れた製品と比べて劣ることが多いです。初心者の方にも、ある程度の価格帯の双眼鏡を選ぶことをおすすめします。価格が高いからといって必ずしも優れた双眼鏡とは限りませんが、安すぎる製品は光学性能に制約があることが多いため、バードウォッチングを楽しむ上で不便を感じることがあります。

ブランド信頼性とアフターフォロー

また、双眼鏡を選ぶ際には信頼性の高いブランドを選ぶことも大切です。信頼性のあるブランドは、多くのユーザーからの評判を築いており、品質管理が行き届いています。さらに、アフターフォローやカスタマーサポートがしっかりしていることも重要です。例えば、当社(ネイチャークリップス)のように、専門的な知識と経験を持つスタッフが、製品の選定やトラブルの解決に関してサポートを提供します。バードウォッチング用の双眼鏡は、しばしば自然環境で使用されるため、万一の故障やトラブルに迅速に対応できる販売店やブランドを選ぶことで、長期間にわたり安心してご利用いただけます。

 

9.まとめ:バードウォッチングを楽しむための第一歩

バードウォッチングの魅力を十分に味わうためには、適切な双眼鏡の選び方が欠かせません。特に初心者の方は、8x32の双眼鏡から始めることで、この趣味の楽しさを最大限に体験することができるでしょう。高倍率の魅力には惹かれるかもしれませんが、上記のデメリットもしっかりと理解した上で、自分に最適な選択をしましょう。

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