「初夏」の自然観察のススメ

「初夏」の自然観察のススメ

初夏の訪れは、アウトドア活動好きにとっても、生きもの好きにとっても待ち遠しい季節です。
 
こんにちは、NATURE CLIPS事務局長のKです。
 
新緑に彩られた初夏の自然を存分に楽しむ方法をまとめてみました。
 
活気あふれる生きものたちとともに、アウトドアや生きもの好きが夢中になれる、楽しい自然観察をご紹介します。

1.森林の緑を感じる散策

森林の緑を感じる散策は、初夏の自然観察の醍醐味のひとつです。展葉したての広葉樹の若葉の美しさに感動します。野鳥は繁殖期に入り、あちらこちらでせわしなく耳に入ってくるさえずりが心地よい季節です。まずは、森林浴の心地よさを感じながら、ゆっくりと歩いてみてください。
 
足元には色とりどりの大小さまざまな野草が花を咲かせ、昆虫たちも活気づいています。木漏れ日が差し込む場所では、チョウやトンボが飛び、小鳥がさえずりを奏でています。
 
静かに立ち止まって、周囲を見渡すと、木の幹ではキツツキの仲間、コゲラが活発に動いていたり、シジュウカラやヤマガラが餌を運んでいる姿が目撃できるかもしれません。
 
積極的に歩き回って生きものを探すよりも、ゆっくりと散策し、あるいは途中で立ち止まり、生きものがやってくるのを待ってみる。そんな自然観察もとてもお勧めです。

2.川辺で水生昆虫を探す

川辺での楽しみの1つに水生昆虫探しがあります。特に面白いのは、石の裏に付着していたり、砂や落ち葉の下に潜っている水生昆虫の存在です。
 
水辺の岩や石をひっくり返すと、石の下に隠れている水生昆虫たちが姿を現します。トンボのヤゴのような姿をしたもの、平べったいもの、長いもの、丸いもの、砂や落ち葉をまとっているものなど。とにかく色んな姿の水生昆虫に心躍ります。特に、石を持ち上げた瞬間に、カゲロウなどの幼虫が逃げ場もないのに石の表面をわらわらと逃げ回る姿はとても滑稽で可愛くも感じます。
 
これらの水生昆虫たちは、石の下で独特な生活を送っています。彼らは獲物を待ち伏せるために石の下に隠れ、時には石の下で生活し、成長します。とても興味深いです。
 
生きもの調査界隈では、川に入り足などを使って石や岩の隙間や草の中に隠れている水中の生きものを網に追い込んで捕まえることを「ガサガサ」と呼んでいます。「ガサガサ」したい場所の下流側にたも網などを置き、上流側でガサガサ。流れてくる水生昆虫を網の中に入れるのがコツです。
 
また、「ガサガサ」をしていると、水生昆虫だけでなく、小魚やカエル、時にはイモリやサンショウウオなどを捕まえることもあります。これらの生きものたちを発見すると、さらに川辺の生きもの探しが楽しくなります。彼らの生態を観察することで、水辺の生態系や食物連鎖についても学ぶことができます。
 
水中の岩や石、植物や落ち葉の下などに隠れている水生昆虫やその他の生きものたちは、水辺の生態系の一部であり、とても貴重な存在です。彼らを見つけることで、自然の不思議さや多様性を感じることができます。安全に水生昆虫探しをしながら、水辺の生きものたちとの出会いを楽しんでほしいです。
 
そうそう、水生昆虫の多くは、幼虫時代を水中ですごし、春から初夏にかけて羽化して陸生になる種が多いです。そのため、夏真っ盛りには水生昆虫はあまり見られなくなります。水生昆虫探しで一番面白いのは、冬、早春、春までかなぁ。

 

3. 森や林の生きもの観察する

森や林での生きもの観察は、生きものの生活の一部を垣間見ることのできる素晴らしい活動です。まずは、お喋りをやめて、耳を澄まし、木々の間や地面を注意深く観察してみてください。さまざまな動植物が生育・生息していることが分かります。
 
森や林での生きもの観察は、季節ごとにさまざまな生きものの姿を見ることができるのでとても魅力的な活動です。特に、春や初夏には、オオルリやキビタキなどの野鳥の美しい囀りや、シジュウカラやヤマガラなどの野鳥が巣に餌を運んでくる様子や、巣立ちしたばかりの幼鳥の姿を見ることができるかもしれません。また、散策路のちょっとした水たまりに集まって吸水するカラスアゲハの姿、高木の梢で鳴くハルゼミなどの虫の鳴き声も耳に心地よく響いてきます。
 
さらに、森や林には様々な哺乳類も生息しています。木々の上で木登りをする二ホンリスや木々の下で暮らすノウサギなどがその代表です。また、ニホンジカやイノシシなどの大型哺乳類も、森や林の中で姿を見せることがあります。最近はツキノワグマの出没も話題になりました。
 
これらの生きものたちが森や林の中で暮らす姿をじっくり観察することで、森や林の生態系や生きものたちの生態を理解することができます。
 
野鳥の子育てや昆虫の活動、哺乳類の生態など、森や林の中で見られる生きものたちのさまざまな姿を楽しみながら、自然とのつながりを感じることができます。森や林は季節ごとに移り変わる魅力的な場所で、春や初夏には新緑が輝き、生きものたちも活発に動き回ります。安全に観察を楽しみながら、森や林の生きものたちとの素敵な出会いを楽しんでください。

4.自然の音を楽しむ

たまには、耳を澄ませてじっくりと「自然の音」を楽しむのはいかがですか。森や林、里山、水辺、公園などどんな場所でも、様々な自然の音を楽しむことができます。
 
自然の音を楽しむ散策は、心身をリフレッシュさせる素敵な活動になります。さまざまな自然音が耳に入り、心地よいリラックス効果をもたらします。森や公園で鳴く野鳥のさえずりや、流れる川のせせらぎ、そよ風に揺れる木々のざわめきなど、自然が奏でる音は心に平穏な感覚を与えます。
 
自然の音を楽しむためには、まずは自然の中に身を置き、静かに耳を澄ませることが大切です。また、腰を据える場合には、快適なシートやお気に入りのおやつや飲み物があれば良いですね。さらに自然音をより鮮明に楽しむために、ICレコーダーやリニアPCMと呼ばれる録音機器なども大活躍します。
 
街中の喧騒から離れて心を落ち着かせる良い機会になります。たまにはヘッドホンやイヤホンを外して、自然の音楽に耳を傾けながら、日常のストレスを忘れ、心身をリフレッシュさせてみましょう。
 
 

5.野外でのキャンプをより楽しむ方法

野外でのキャンプは、自然とのふれあいを楽しみながら心身をリフレッシュできる素晴らしいアクティビティといえます。テントを張り、焚火を囲む、キャンプ飯を楽しむだけではなく、周囲の自然環境に注目してみるのはいかがでしょうか。楽しいアウトドア活動は、良好な自然環境が保全されているからこそ成り立っているのです。ここでは、キャンプをより豊かな体験にする方法をいくつかご紹介します。
 
まず、キャンプをする場所の周囲の自然をじっくりと観察してみましょう。事前にキャンプ場周辺の自然について調べるのもとても効果的です。
 
周囲の木々や草花、川や湖、空の色彩など、これまであまり関心のなかった光景にビックリするかもしれません。また、野外で生息する動植物にもぜひ注目してください。野鳥のさえずりや虫の音、小さな哺乳類の動きなど、自然の息づかいを感じながら、キャンプを満喫しましょう。
 
さらに、夜のキャンプでは自然の音や空気、星空など、昼間とは異なる魅力を堪能できます。夜空に広がる星々の輝きや、月明かりに照らされる自然の美しさは格別です。星座を観察したり、流れ星を追いかけたりすることで、自然とのつながりを深めることができます。色や姿が美しいオオミズアオやイボタガなどの蛾類がランタンの灯りに寄ってくるかもしれません。さらに、フクロウやヨタカといった夜行性の鳥類の不気味な鳴き声が聞こえるかもしれませんね。
 
あと、少し専門的になりますが、持っておくと便利で、楽しく、奥深く、そして緊急時に役に立つアイテムとして用意しておきたいのは、縮尺1/10,000~1/25,000の地形図です。最近ではスマートフォンのGPS機能を使って地形図を見ることが出来るアプリも沢山あります。
 
Googleやヤフーなどの地図も良いですが、お勧めはやはり地理院地図などの地形図です。地形図の見方・読み方はまた別の機会に解説しようと思いますが、地形図が読めるようになると、等高線から傾斜や標高が読み取れ、慣れてくると地図から風景がイメージできるようになるなど、キャンプを含めたアウトドア全般がさらに楽しく、その質が上がること間違いなしです。
 
最後に、キャンプを楽しむ際には、自然環境が保全されていることを意識してみましょう。ゴミは持ち帰り、焚火は指定された場所で行います。「来た時よりも奇麗にして帰る」をぜひ心がけてほしいです。また、植物や動物に対しても配慮を忘れずに。自然環境が保全されているからこそ、私たちはキャンプやアウトドア活動を楽しむことができます。自然に感謝し、その恩恵を受けると同時に、自然環境の保全にお返ししてあげる気持ちと行動が大切です。
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