こんにちは、NATURE CLIPS事務局の おーさん(30代)です。
周辺地域でアオバトの研究を行っている
当社・株式会社地域環境計画の松岡さんが、
野鳥の撮影対象探しや自然考証に協力しました。
それに合わせまして、
松岡さんに行き当たりばったりで、
アオバトについて25の質問をしてみました。
22年にSTVニュース北海道で取材協力したこちらの動画もご覧いただくと、よりイメージができると思います。
アオバトってなんですか?
森にも海にもいる不思議なハトです。
ドバトとかキジバトとかと比べると、大きさはどれくらい違いますか?
飛び方とかを見ていると、ドバトが一番大きくて、次がキジバトで、アオバトが三番手くらいに見えるのですが、みんなだいたい同じ大きさです。
アオバトは何色をしていますか?
アオバトは紫と緑と青とピンクが混ざったカラフルな鳥ですね。
一番強いのが緑です。
なんて鳴きますか?
「おー、おー、おあおー、おあおーあー」です。
ヨーデルみたいです。
それは「さえずり」ですか?「地鳴き」ですか?
「さえずり」と「地鳴き」の区別って微妙なんです。
それをいま調べてます。
オスもメスも鳴きますか?
オスもメスも同じように鳴きます。
どんな時に鳴くのですか?
それは、はっきりとはわかっていません。
「おー、あおー」のベースの鳴き声は、餌場でも鳴くし、巣の中でオスとメスが抱卵の交替をする前に鳴いている時もあります。
でも、海水を飲みに行く時は鳴いていないですね。
たぶん仲間を集めている意味合いが強いのかな...コンタクトコールに近いのかな...と感じています。
ちなみに求愛の時は「ポポポポポ・・」と鳴きます。
群れますか?
時季、または場所によって群れます。
冬場はあまり「あおー、あおー」の声を聞かない気がしますが、冬はどう鳴きますか?
アオバトは夏鳥(春に渡来して繁殖し、秋に渡去する鳥)なので、冬は北海道にいないんですよね。
なのでよく知らないのですが、本州の人から冬はほとんど鳴かないと聞いてます。
北海道だとどういうところにいるのですか?
本州に比べたら標高の低い林にいて、普段子育てや餌を食べる時は森にいるんですけど、6月から9月の下旬くらいにかけては、定期的に海へ行ったり、温泉が出るところとかへ行ったり、ミネラルを摂取するために飛んでいきます。
ミネラルが必要なのですか?
と、言われています。
それはなぜ?
ミネラルを必要とする理由はハッキリクッキリとわかったわけではありません。
ここからは予想も含めた話です。
北海道には5月の中旬くらいにまとまった群れで渡来するんですよ。
で、しばらくは群れで花を食べているんです。花が終わると次に果実ができるじゃないですか。6月くらいからアオバトは果実専門食になって、地面にも降りずにずーっと樹上で生活するんです。そのタイミングで海水を飲みに行っているんです。だから5月中旬頃にアオバトは海岸に水を飲みに来ていないんですが、6月からぞくぞくと来るようになるんです。
なので、たぶん果実を専門的に食べている中で不足する栄養分、つまりミネラルを摂取する必要があるのだと思っています。果実が山に残っている秋までは海水を飲むんですが、地面に落ちているドングリなどを食べる冬は、海水等を飲まないんです。これらのことも、果実食による不足栄養摂取説の裏付けになっていると思っています。
「繁殖に必要なピジョンミルクを生成するために海水を飲むんじゃないか」っていう説も昔はあったんですけど、それはちがうんじゃないかなと。
ドバトもキジバトも、海水を飲まないのに、ピジョンミルクを生成して子育てをしていますから。あと、まだ繁殖をしない、巣立ったばかりの幼鳥が8月くらいから海岸に現れて海水を飲んでいるのも、「ちがう」と考える理由です。
渡来してすぐは海水を飲まない、だけど途中から一斉に飲みに行き始める。で、食べているものは、キジバトのような地面採餌型ではなく、樹上採餌型で果実しか食べていない。
ってことはそこに大きな理由があって、タイミングも一致していることから、私は「果実を専門的に食べている中で不足している栄養分がミネラルに関係している」という説を支持しています。
たぶん繁殖期間中に地面に降りないっていうのは、北海道にいるとより感じられることかもしれません。営巣地の標高差が本州と北海道とでは大きくて、高い標高が本州で、北海道では海抜22mでも普通に繁殖しています。北海道の方がアオバトを観察しやすいので、地面に降りないで果実を食べているというのは間違いないと思っています。
越冬地になると、地面に降りてドングリを食べているそうです。ドングリ自体に必要成分が含まれている可能性や、地面に降りて食べていると、土とかドングリ以外のものも食べている可能性があって、そうすると海水を摂取する必要がないのかもしれません。
しつこく食べるものはありますか?
北海道に来たばかりの時は、オニグルミとかミズナラの花を集団でしつこく食べてます。
私もオニグルミの花を食べてみましたが、まずかったです。
アオバトに天敵はいますか?
いっぱいいます。
海岸に行くとハヤブサに襲われます。アオバトはまとまった数がいて、猛禽類が捕食するのにちょうどよいサイズで、ターゲットになりやすいみたいです。
森でも海岸でも、猛禽類にはかなり襲われています。
アオバトは何かの天敵になりますか?
なりません。
人が困ることはありますか?
ないと思います。
ハトってどんくさいイメージがありますが、アオバトはどうですか?
アオバトはどんくさくはないですね。キジバトに比べるとはやい気がします。危険を察知して逃げるのがはやいです。
木の葉っぱが生い茂っている樹冠(じゅかん)から降りてこず、枝にのっかって餌を食べています。
さらに人間が近づいてくると、人間がアオバトを認識する前に飛んで逃げているから、「鳴き声はよく聞くのに姿を見たことがない」っていう人は多いと思います。
体の色は保護色なんですかね?
上面は確実に保護色でしょうね。
巣を見つけて観察していても感じますが、巣をかける場所は、緑の葉っぱが上の方に生い茂った場所を選択してそうなんですよね。上に生い茂っていればそもそも上からは見え辛いし、ちょっと隙間から見えたとしても同じような色をしていてアオバトだと分からない。さらに、巣は粗末でちっちゃくて、それに親が乗ると巣は見えない。だから、まったく認識できないくらいに風景に溶け込んでいる。そういう風な進化をしてきたんでしょうね。
アオバトは基本的に餌運びをしません。巣内育雛期(雛が巣にいる状態の子育て期)は主にピジョンミルクで子育てをします。小鳥みたいに1日に200回も餌を運ぶ行動はありません。それも巣が見つけにくい理由です。
観察していたところ、昼間はオス、夕方から朝まではメスって決まっていて、1日に2回しか巣の出入りをしないんです。
巣を見つけるのは大変ですが、私は慣れてきました。
キジバトは、葉っぱがあまり生えていない枝ばっかりで密度の高い暗い林でも営巣するんですけど、体の色が樹皮とかの暗い色と一緒なんですよね。そういう適応があったのかもしれません。
ドバトは品種改良されているんで、よくわからないです笑
アオバトは長距離飛べますか?
巣から海水飲み場までどれくらいの距離があるかというと、苫小牧の例で言うと12km以上は確実に飛んでいます。
しかも1日の中で。飛ぶのは得意なのかもしれません。
アオバトにかっこいい瞬間ってありますか?
海岸を飛んでいるときはかっこいいですね。
群れの規模が大きければ大きいほどかっこよくみえますね。
苫小牧の海岸線でアオバトを待っていると、30とか40の群れが目線の高さで飛んでいくんですよ。ぶあーって。それはちょっとかっこいいですね。
かっこわるい瞬間はありますか?
波にのまれているところです。
なかなか降りずに何度も海岸を飛び回って、ようやく降りても恐る恐る慎重に汀線に近づいて。なのに、飲み始めと同時にあっさりザブンって・・・。
アオバトにかわいい瞬間はありますか?
ヒナがかわいいです。眠るときに目をつぶって、あくびみたいなのもして...。ああいうのは見ていてかわいいですね。
巣立つ瞬間、営巣木から飛び立つ瞬間って、ヒナが勇気を持って飛ぶんじゃなくて、親が鳴いて誘い出すんですよ。
ああいう掛け合いは健気ですね。親も含めてかわいいです。
松岡さんは、アオバト好きですか?
そうでもないです。
じゃあ、好きな生きものはなんですか?
クマタカが好きですね。
クマタカはアオバトを食べますか?
食べますね。
ありがとうございました。
松岡さんが文・写真を担当した
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アオバトの子育てに迫る
世界初!アオバトの巣外育雛を動画撮影
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