アウトドア好き必見!「危険生物」への対応 -安全にアウトドアを楽しむために-

アウトドア好き必見!「危険生物」への対応 -安全にアウトドアを楽しむために-

こんにちは。NatureClips事務局長のKです。

自然環境調査、そしてアウトドア活動を楽しむ際に避けて通れないのが自然界に潜む危険生物です。本記事では、特に日本でよく見られるマムシ、スズメバチ、マダニ、ヤマビル、ツキノワグマ、イノシシといった危険生物に焦点を当てて、その特徴や被害にあった際の症状、そして具体的な対策方法について詳しく解説します。

どれも一般的な内容ですが、これを読むことで、アウトドアでのリスクを最小限に抑え、安全に自然を満喫するための知識と準備が整うと思います。これから紹介する方法をよく読んで、安全で楽しいアウトドアライフを送ってくださいね。

 

Table of Contents

アウトドア中に出会う危険生物とは

日本でよく目撃される危険生物

 

1.マムシ

マムシは、北海道、本州、四国、九州に広く分布し、主に湿気の多い草地や森林に生息しています。水辺の近くを好んでいるので落ち葉の下、川辺、田畑なども注意が必要です。強力な毒(主に出血毒で、少量の神経毒も含まれます)を持っており、噛まれるとひどい痛み腫れ、さらには血液凝固障害を引き起こすことがあります。

例として、インターネットからの情報にはなりますが、マムシ咬傷は年間で2,000件も発生しているとの情報がありました。致命的なケースは少ないようですが、嚙まれた場合は、症状の有無、大小に関わらず、医療機関を受診することが重要です。

マムシ(咬傷)については、自治体、医療機関、研究者などがインターネットを通じて、様々な情報提供を行っています。インターネットで検索してみてください。

 

マムシに噛まれた場合の症状

マムシは、日本に広く分布している毒蛇で、噛まれた場合には以下のような症状が現れます。

症状

詳細

痛み

即座に強い痛みが現れる。

腫れ

噛まれた部位が腫れあがる

出血

傷口から持続的な出血が起こる。

麻痺

噛まれた部分に麻痺が起こる可能性がある。

ショック症状

重症の場合アナフィラキシーショックを引き起こすことがある。

 

マムシに遭遇した場合の対処法

事故を防ぐために

  • マムシ等が生息する可能性がある、水辺や草むら、山林などに入る際には、長袖・長ズボンの服装で、長靴を着用するようにしてください。
  • 危険な区域を避けるための看板や標識がある場合は、それに従う。

見つけた場合の対策

  • 落ち着いてその場を離れる。
  • マムシは攻撃的ではないため、動かずに静かにしていることが重要です。
  • 石や棒などでつついたりせず、マムシを刺激しないように気をつける。

噛まれた場合の応急処置

  • とにかく落ち着く。慌てない。心拍数が過度に上がらないようゆっくりと行動する。毒のまわりを遅くします。
  • 噛まれた部分を心臓より低く保ち、動かさない。
  • 吸引器を使い毒を吸い出すことは推奨されていないため避けてください。
  • 毒を口で吸い出すのも推奨しません。特に口の中に傷がある場合は絶対に避けてください。
  • 噛まれたとことろから親指1本くらい上を清潔なタオルや三角巾などで軽く縛ります。
  • 可能な限り速やかに医療機関で受診してもらう。その際、マムシに噛まれたこと(経過時間、応急処置、心身の状態など)をきちんと説明してください。

 

2.スズメバチ・アシナガバチ類

スズメバチやアシナガバチ類は、夏から秋にかけて活動が活発になります。山での遭遇率は、マムシや後述するクマよりも圧倒的に高く、毎年被害者や死亡者が出ているほどです。特にスズメバチの攻撃性と毒性は非常に高く、刺されると激しい痛み赤みと腫れ、場合によってはアナフィラキシーショックを引き起こすことがあります。

林野庁の公開データによれば、日本では年間約20人が蜂刺されによって死亡しています(令和4年度)。詳細は林野庁のサイトを参照ください。

 

スズメバチに刺された場合の症状

スズメバチに刺された場合には、特に以下の症状が見られます。アシナガバチ類もスズメバチと同様の症状が出ることがあるので注意が必要です。

症状

詳細

激しい痛み

刺された瞬間から非常に強い痛みがある。

発赤と腫れ

刺された部位が赤く腫れ上がる

痒み

数日間続く強い痒みが生じる。

アナフィラキシーショック

重篤な場合、息苦しさや意識障害が出ることがある。

 

スズメバチに遭遇した場合の対処法

アシナガバチ類についても、基本的にスズメバチと同様の対処をしてください。

刺されないための対策

  • 黒い色はスズメバチを興奮させます。服装に注意してください。
  • 匂いの強い整髪料や香水は、できるだけつけないようにしてください。
  • 巣を見つけたら近づかない。
  • 刺激を避けるため、素早く動かない。
  • ゆっくり後退してその場を離れる。
  • ハチが近づいてきても慌てて手やタオルなどで振り払ったりしないでください。
  • 身体にとまられてしまった場合は、払わずに刺される前に「真上」から叩き潰してください。
  • それでも攻撃してきたら、全力疾走で一刻も早くその場から逃げてください。
  • 黒い部分を攻撃してくる習性があるため、頭や目を隠すと良いでしょう。
  • 他の人が刺されないために、巣の場所は自治体や専門機関に報告するとよいでしょう。

刺された場合の応急処置

  • 速やかにその場から遠ざかってください。処置はその後で。
  • 摘んだり、ポイズンリムーバーなどを利用して、毒を可能な範囲で押し出す(排出させる)。
  • その際、口で毒を吸い出すのは避けましょう。
  • 傷口を洗浄し、冷やします。水筒やポリタンクの水、小さな湧き水など汚染されていない水があれば患部にかけてよく洗ってください。多少は毒を流せます。
  • 海水、川や池の水は汚染されている可能性があるため傷口の洗浄には使わないでください。
  • 抗ヒスタミン剤の入ったステロイド軟膏を塗って、患部を氷など冷たいもので冷やして腫れを抑えます。
  • 吐き気、頭痛、呼吸困難などのアレルギー反応、更にはアナフィラキシーショックのリスクがあるため、速やかに医師に相談して下さい。
  • アナフィラキシーに備えて、蜂用アレルギー薬を持参することを検討しましょう。

その他、気をつけてほしいこと

  • ハチ類は「刺す」ことから怖い存在であることは間違いないのですが、花の受粉をしたり、害虫を食べてくれる、また一部の地域では食文化としても根付いているなど、生態系の中で大切な役割を担っています。
  • ハチそのものを極端に怖がることなく、ハチの生態を理解してうまく付き合ってほしいと考えます。
  • 例えば、人の害にならないような場所で巣を見つけた場合など、ハチの種類によっては、巣を壊さずに放置しておくことも可能です。

 

3.マダニ

マダニは、クモに近い体の特徴を持つ節足動物で、基本的には山の中の茂みや草むらに生息しています。近年、シカやイノシシなどが人里近くにまで生息域を広めていることもあり、これらの動物を見かける場所であれば、民家の裏山や、畑、あぜ道などにダニが生息している可能性が高いといえます。このため、犬や猫にも寄生し、さらに人間にも付着します。咬まれることで様々な病気を媒介するため注意が必要です。代表的なものとしてライム病日本紅斑熱があります。

厚生労働省のデータによると、年間数百件の感染事例が報告されています。咬まれないようにするための対策が重要です。具体的な情報は国立感染症研究所のサイトなどで確認してください。

  

マダニに噛まれた場合の症状

マダニに噛まれた場合には以下の症状が見られることが多いです。

症状

詳細

激しい痒み

噛まれた部分に強い痒みが生じる。

発赤

噛まれた部位が赤くなる

感染症

媒介する感染症により発熱や頭痛が生じることがある。

 

マダニ被害に遭わないための対処法

基本的な対策

  • 野外では、腕・足・首など、肌を露出しないよう服装、長袖・長ズボンが基本です。首にはタオルなどを巻き付けておくのも効果的です。
  • 袖や裾が開いていると隙間から侵入してきます。シャツの袖口は手袋の中に、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は長靴の中に、さらにズボンの裾を靴下に被せるなど、しっかりと閉じる工夫をします。
  • 草むらや木陰を避けて行動しましょう。
  • 草むらや藪に直接座りこむのは危険です。休憩する際は敷物を敷くなどダニが付着しないよう工夫してください。
  • ダニに効果がある虫除けスプレーを十分に使用する。
  • 外出後には全身を調べ、マダニが付いていないか確認してください。
  • 自宅に入る前に、上着や作業着を入念にチェック、シャワーや入浴の際にダニがついていないかチェックしてください。
  • 幼ダニは非常に小さく、草花の花粉のように見えることがあります。衣類に大量に付着しているのを見つけた場合は、ガムテープを使って取り除く方法も効果的です。

噛まれた場合の処置

  • 無理にちぎって取り除こうとしてはいけません。
  • 噛まれていた場合、ハッカ油や酢をかけると効果があるといわれています。
  • 取り除く際は、ピンセットやダニ除去機を使って慎重に行います。
  • 傷口を清潔にし、消毒薬を使用する。
  • 頭部が残っていたり、吐き気や発熱などの症状が出た場合には、迷わず医療機関で検査と処置を受けてください。

4.ヤマビル

ヤマビルは、水田や沼地で見られるチスイビルの仲間とは異なり陸生のヒル類です。湿気の多い森林や草むらに生息し、人や動物の血を吸います。生息域では、シカやイノシシなどの獣道や登山道で、人を含めた動物が通るのを待ち伏せしています。吸血中に気づかないことが多く、感染症を引き起こすこともあります。

吸われた箇所から出血が続いたり感染するリスクがあることや、また、アウトドア活動を楽しんだ後、車の運転中に車内で動いているヤマビルを見つけ、ハンドル操作を誤り事故が生じる可能性もあります。アウトドア活動後は体を念入りにチェックしてください。神奈川県のサイトでは、対策マニュアルのほか、様々な情報が提供されていますので、参考にしてください。

 

ヤマビルに噛まれた場合の症状

ヤマビルに噛まれると、以下のような症状が見られることが多いです。

症状

詳細

出血

傷口から持続的に出血する。

痛み

噛まれた部分に軽度の痛みがあることがある。

痒み

数日間続く強い痒みが生じる。

 

ヤマビル被害に遭わないための対処法

噛まれないための対策

  • 獣道など、整備されていない道を歩くのはできるだけ避ける。
  • 雨の日など湿度が高い日の行動はできるだけ避ける。
  • 長袖・長ズボンを着用して肌を守る。
  • ヤマビル用のスプレーを使用する。
  • 地面や落ち葉の上を注意深く観察する。
  • 定期的に皮膚や衣服にヒルが付いていないかをチェックする。
  • いざという時のために、塩を用意しておきましょう。

噛まれた場合の応急処置

  • 噛まれれている場合、塩やエタノールを使うと簡単に皮膚から外れます。
  • 無理に引っ張って取らない(牙が残ってしまうことがある)。
  • 傷口を洗浄して清潔に保つ。
  • 消毒用エタノールを使い、感染を予防する。
  • 出血が続く場合は止血を行う。
  • 出血の状況やその後の炎症が酷い場合は、医療機関で診察してもらうことを推奨します。

 

5.ツキノワグマ

ツキノワグマは主に山岳地帯に生息していますが、近年では人の生活域近くでの遭遇機会が増加傾向です。特に2022年以降はクマの被害やアーバンベアの出没など、各地でクマに関するニュースが日常的に発信されているなど、明らかに身近な動物になってきています。クマに襲われると重傷を負う可能性が極めて高いため、まずは遭遇しないための対策、万が一遭遇してしまった場合の適切な対応が求められます。

環境省のデータによると、国内でのツキノワグマによる負傷者数は年間数十件報告されています。遭遇しないための注意が重要です。詳細は環境省のツキノワグマ情報を参照してください。また、弊社が運営している鳥獣被害対策ドットコムでは、クマに関する詳しい生態ブログ記事を公開しているので、こちらも参考にしてください。

 

ツキノワグマによる被害の症状

ツキノワグマに襲われた場合には、以下の症状が見られることがあります。

症状

詳細

深い傷

鋭い爪による深い傷がつく。

骨折

攻撃によって骨折する可能性がある。

心理的ショック

非常に恐怖を感じ、心理的なショックを受ける。

ツキノワグマ被害に遭わないための対策

基本は出会わないための対策

  • あらかじめクマの出没情報に注意し、出没地域に入らないことが大切です。
  • クマは、朝夕・黎明薄暮時に活発に動きます。この時間帯はできるだけ山中に入るのは避けてください。
  • 悪天候(雨、風、霧)の場合は、人もクマもお互に発見が遅れて接近してしまう可能性があります。普段よりも周囲に注意を払って行動してください。
  • 可能な限り複数で行動するようにしましょう。
  • ゴミ等は放置せず、持ち帰るようにしましょう。キャンプ時の食料やゴミも野外やテント内に放置せず、クマが取ることのできない場所に保管してください。
  • クマの足跡や糞、爪痕、「クマ棚」と呼ばれる樹上に作られた餌を食べる際に樹上に作られた台座のようなものをを見つけた場合は、その先には進まずに引き返しましょう。
  • ラジオや会話、クマ鈴などで音を立てながら、こちらの存在をアピールしましょう。

それでも、出会ってしまった場合の対応

  • とにかく熊を興奮状態にさせないことが大切です。
  • 熊には近づかず、静かにその場から立ち去る。
  • 熊に背を向けず、ゆっくりと後退する。
  • 大声や激しい動作は避け、熊を驚かせないように注意する。
  • 熊が近づいてくる場合も同様に、焦らず慎重に熊との距離をとる。
  • 熊避けベルやスプレーなどの対熊グッズの持参を検討してください。

 

6.イノシシ

イノシシは森林や里山に生息し、人間との接触が頻繁に報告されています。とても危険な動物で、攻撃を受けると重傷を負うことがあります。

2018年のデータでは、イノシシによる負傷者は全国で100人以上報告されています。遭遇時の適切な対処法が求められます。詳しい情報は環境省のサイトも参考にしてください。また、弊社が運営している鳥獣被害対策ドットコムでは、イノシシに関する詳しい生態ブログ記事を公開しているので、こちらも参考にしてください。

  

イノシシによる被害の症状

イノシシに襲われた場合には、以下の症状が見られることが多いです。

症状

詳細

刺傷

鋭い牙による刺傷がつく。

内出血

内部組織の損傷による内出血が起きる。

感染症

傷口が化膿し、感染症のリスクが高まる。

 

イノシシに遭遇した場合の対処方法

出会ってしまった場合の対応

  • イノシシに背を向けず、ゆっくりと後退する。
  • 危険を感じた場合は木の高い所に避難する。
  • 大声や激しい動作でイノシシを驚かせないように注意する。
  • 地元自治体や専門機関に連絡して、情報提供を行う。
  • イノシシに遭遇しないための予防策として、餌となる食べ物を放置しない。

 

危険生物に対する基本の対策

事前の準備と知識 

場所のリサーチ

アウトドアに出かける前に、その場所にどのような危険生物が生息しているかをできる限りリサーチします。環境省や自治体、地域の自然環境情報を掲載したHPなどが提供している情報を確認することで、リスクのある場所を見極めましょう。

服装と装備品

長袖・長ズボンの着用が推奨されます。また、革手袋や帽子、登山靴などの適切な装備品を揃えることで、身体を守る効果があります。さらに、色は明るい色を選ぶと、視認性が高まり、危険生物からも簡単に識別されやすくなります。

応急処置キットの準備

咬傷や刺傷に対応できる応急処置キットを携行してください。例えば、消毒液や抗ヒスタミン薬、包帯、絆創膏、ポイズンリムーバーなどが含まれます。また、携帯電話やGPSなどの連絡手段も常備すると良いでしょう。

アイテム

目的

備考

長袖・長ズボン

咬傷・刺傷予防

明るい色が推奨される

手袋

手の保護

登山用が望ましい

応急処置キット

緊急対応

消毒液や包帯、ハッカ油などを含む

携帯電話・GPS

連絡手段

シグナル可能エリアを確認

 

危険生物との遭遇を避ける行動

声・音を鳴らす

登山やトレッキング中は歌ったり、会話したりすることで、ツキノワグマやイノシシなどの危険生物に自分の存在を知らせることができます。これにより、出会う可能性を小さくしたり、突然の襲撃を防ぐことができます。ただし、ツキノワグマに出会ってしまった場合には、大声を出す、攻撃する、背を向けて走って逃げるなどはクマを興奮させてしまうなど逆効果になるため、絶対に行ってはいけません。

長袖・長ズボンの着用

長袖や長ズボンを着用することで、蚊やダニなどの小さな危険生物からの咬傷を防ぎます。また、薄い生地よりも厚手のものがより効果的です。登山靴も良いですが、林内に入る際には長靴の利用をお勧めします。

虫除けスプレーの使用

虫除けスプレーは有効成分ディート(DEET)※やイカリジンを含む製品を選ぶと効果的です。特に蚊やダニ、ブヨなどが多い季節には、しっかりと全身に塗布するよう心がけましょう。

※ディートは、年齢によって使用回数などの制限があります。使用する際は説明書をしっかりと確認するようにしてください。

 出会わないための注意点

  • 一定のペースで歩く、道から外れない
  • イヤホンをしながら歩かない:危険動物の発見が遅れるリスクを減らせます。
  • 獣道を避ける:獣道は動物がよく通る道ですので、これを避けることでリスクを減らせます。
  • 食べ物の管理:食べ物の臭いが危険生物を引き寄せる可能性があります。密閉容器に保管し、寝る場所から離れた場所に保管しましょう。
  • ゴミの処理:食べ終わった後のゴミは必ず持ち帰り、その場に放置しないようにしましょう。臭いが危険生物を引き寄せる原因となります。

まとめ

アウトドア活動を楽しむ際には、危険生物との遭遇リスクを理解し、適切な対策を講じることがとても重要です。

事前の準備として、場所のリサーチや服装、装備品の選定、応急処置キットの準備をぜひ行ってください。また、長袖・長ズボンの着用や虫除けスプレーの使用、クマの生息域では会話、ラジオ、クマ鈴などで声や音を出すなどして、クマとの遭遇を避ける行動を心掛けることが大切です。万が一遭遇してしまった場合は、それぞれの生物に応じた具体的な対処法を実践し、冷静に対応することが必要です。塩、ハッカ油など、ちょっとした小物がいざという時に役に立ちます。

危険生物がいるということで、外に出ることに極端におびえず、適切な知識と準備、そして装備によって、アウトドア活動を楽しんでください。

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