「ガサガサって何?」「お!ガサガサ!」皆さんの反応は色々かも知れません。子どもも大人も楽しめる“ガサガサ”の魅力はたくさん。安全に楽しく行うための完全ガイドを提供します。
たも網を使ったガサガサのやり方、必要な道具、出会える生きものたち、そして実際にどのような場所で行い、どういったことに注意すれば良いかをご紹介します。この記事を読めば、あなたもすぐにでも水辺で、ワクワクする生きもの探しに出発したくなること間違いなし!さあ、自然の宝物を発見する冒険へ出かけましょう!
1. ガサガサって何?
「ガサガサ」とは、たも網を使って水辺の草むらや石の下などを探り、水中にいる生きものを捕まえることです。小川や池、沼地などの浅瀬に入り、水草や石の下に潜む生きものを探すことは、子どもにとっては、自然と触れ合いながら生きものの生態を学ぶことができる貴重な体験となります。大人にとっても、童心に帰って夢中になれる楽しさがあり、自然観察の醍醐味を味わうことができます。近年では自然体験活動の一環として、環境教育の観点でも注目されています。
手軽に始められるという点もガサガサの魅力です。特別な技術や高価な道具は必要なく、たも網とバケツがあれば誰でも気軽に始めることができます。都会の喧騒を離れ、自然の中で生きものと触れ合うことで、心身のリフレッシュにも繋がります。
ガサガサで捕まえることができる生きものは様々です。魚類はもちろんのこと、エビやカニなどの甲殻類、ヤゴなどの水生昆虫、カエルやイモリなどの両生類など、多種多様な生きものと出会うことができます。捕まえた生きものを観察することで、それぞれの生態や特徴を学ぶことができ、自然への理解を深めることができます。
ただし、ガサガサを楽しむ際には、安全に配慮することも重要です。危険な生きものや水難事故、天候の急変などに注意し、安全な場所でルールを守って行うようにしましょう。また、捕まえた生きものを観察した後には、元の場所に逃がしてあげることが大切です。自然環境への配慮を忘れずに、責任ある行動を心がけましょう。
2. 楽しいガサガサ体験をするための準備
いよいよガサガサに出発!その前に、持ち物や注意点を確認しておきましょう。しっかり準備しておけば、より安全に、そしてもっと楽しくガサガサ体験ができます。
2.1 必要な道具
まずはガサガサに必要な道具を確認しましょう。
2.1.1 たも網
ガサガサに必須のアイテム、たも網。網の形、網目の大きさや柄の太さ・長さなど、様々な種類があります。虫捕り網のような丸い網を思い浮かべる方も少なくないかも知れませんが、先端が平らになった、アルファベットのDを横にした半円状のものがお勧めです。
網目のサイズは、生きもの調査をする際にはかなり重要な要素で、小さな水生昆虫も含めて探そうとすると1mmやもっと細かい目のものを使ったりします。3mm程度であれば、適度に小さすぎる生きものは逃がすことができつつ、多少泥があるような場所だと、網目が泥で目詰まりしてしまうことを軽減できますので、お勧めです。
また網の色も様々ですが、ガサガサすると生きものは暗い方に逃げ込もうとすると言われていますので、黒などの暗い色の方が多いかも知れません。逆に、細かい生きものを観察したいとなると、白の方が見つけやすくなりますので、何を探したいかによります。
100円ショップやホームセンターで取り扱っているものは、柄が細いものが多いですが、川の上流など多少の流れがあると持ちにくいので、特に小さなお子さんには、柄が短く、太めのものを選ぶのが良いでしょう。
また、たも網は川底の石や岩に引っかかることで網が破れやすくなります。生きもの調査で使う網は、枠が二重になっていて、内側の枠に網がついているので網が破れにくくなっています。
Nature Clipsで取り扱っているたも網は、上記のポイントをいずれも満たした、とてもお勧めのものになっています。
2.1.2 バケツ
捕まえた生きものを観察したり、一時的に保管しておくために、バケツも必要です。蓋つきのバケツなら、生きものが飛び出す心配もありません。バケツの中に少し水を入れておくと、生きものへの負担を軽減できます。酸素供給ができるポンプや電池式エアレーターを入れておくと、さらに安心です。
また、最近では100円ショップでも目盛の入った観察用の水槽も購入できますので、併せて用意しておくのがお勧めです。
2.1.3 その他(服装、持ち物など)
その他、あると便利な持ち物や服装についてまとめました。
持ち物 |
説明 |
長靴 |
川の中に入る際に必須です。滑りにくいものを選びましょう。釣りをされる方は胴長をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思いますが、胴長があればなお良いでしょう。 |
濡れても良い服装 |
水に濡れたり、泥で汚れたりする可能性があるので、動きやすく濡れても良い服装にしましょう。 |
タオル |
濡れた手を拭いたり、体を拭いたりするために必要です。 |
帽子 |
日差しから頭を守ります。水辺にいるので比較的涼しいと思われるかも知れませんが、逆に日陰がないこともありますので、用意すべきアイテムです。 |
虫よけスプレー |
蚊などの虫に刺されないようにするために用意しましょう。 |
飲み物 |
特に暑い時期は、こまめな水分補給を心がけましょう。 |
図鑑 |
捕まえた生きものをその場で調べることができます。様々なポケット図鑑がありますが、濡れてしまう可能性があることは覚悟しておきましょう。 |
カメラ |
捕まえた生きものや、ガサガサの様子を撮影するために持っていくと良いでしょう。防水機能付きのカメラがおすすめです。 |
ライフジャケット |
水深が深い場所や流れが速い場所に行く場合は、必ず着用しましょう。 |
2.2 安全にガサガサを楽しむための注意点
ガサガサは自然の中で行う活動です。安全に楽しむために、以下の注意点を守りましょう。
2.2.1 危険な生きもの
川や池には、危険な生きものも生息しています。マムシやスズメバチなどには特に注意が必要です。また、河口域の砂泥地にはアカエイのように毒を持つ魚も海から上がってきていることもあります。気づかずに嚙まれたり刺されたりすることもあり得ますが、ガサガサに夢中になりすぎないように気をつけましょう。万一刺されたり噛まれたりした場合は、慌てずに処置をしましょう。
こちらの記事もご参照ください!
アウトドア好き必見!「危険生物」への対応 -安全にアウトドアを楽しむために-
2.2.2 天候の確認
ガサガサに行く際は、事前に天気予報を確認し、雨の日や増水している日は避けましょう。また、急に天候が変化することもあるので、天気予報のチェックは欠かさず行いましょう。
特に川の増水は非常に危険です。上流で大雨が降ったり、ダムの放水などがあったりする場合は、天気が良いのに急な増水もあり得ますので、決して近寄ってはいけません。
2.2.3 場所の確認と許可
ガサガサは、主に以下の場所で行うことができますが、どこでも自由にできるわけではありません。事前に場所の確認を行い、立ち入り禁止区域や私有地には入らないことが基本です。また、場所によっては、漁業権が設定されている場合があり、無許可で生きものを捕獲することは違法となる可能性があります。事前に確認し、ルールを守って楽しみましょう。
・小川:流れが穏やかで浅い場所は、ガサガサに適しています。
・池や沼地:水草が豊富で、比較的流れのない場所で多くの生きものが見られます。
・河川敷の浅瀬や流れの緩やかな場所:広い範囲でガサガサを楽しめますが、増水時には特に注意が必要です。
3. ガサガサのやり方
いよいよガサガサ開始!ここでは、たも網を使ったガサガサの具体的なやり方、生きものの探し方、そして捕まえた生きものの観察方法について解説します。
3.1 たも網の使い方
たも網は、水中の生きものをすくい上げるための道具です。網の部分を水中に沈め、生きものを囲い込むようにしてすくい上げます。網を振り回したり、川底を強くこすったりすると、生きものを傷つけたり、川底の環境を破壊したりする可能性があるので注意しましょう。網の角度や動かし方を変えることで、様々な場所に潜む生きものを捕まえることができます。
なお、見える生きものに目がけて振るというよりは、見えない水中にいる生きものを構えたたも網に向かって、足で追い込むのがガサガサの基本です。特に水草や植物などの根元は絶好の生きものの隠れ家です。たも網を水草の茂みに入れて動かすと生きものは更に奥の茂みに逃げてしまいますので、足でガサガサしながら、網に追い込みましょう。網に生きものが入っていた時の嬉しさは、格別です!
また、石の裏も生きものの絶好の隠れ場所です。石をそっと持ち上げ、網を下流側に構えて石の裏に隠れていた生きものを捕まえます。
3.2 生きものの探し方
生きものは、水草の茂み、石の下、倒木の下など、様々な場所に隠れています。これらの場所を重点的に探してみましょう。 また、水の流れが緩やかな場所や、水深が浅い場所も生きものが見つかりやすいです。周囲の環境をよく観察し、生きものが隠れていそうな場所を探してみましょう。
生きものの種類によって、好む環境が異なります。 例えば、エビやカニなどの甲殻類は石の下や水草の茂みに隠れていることが多い一方、小魚は流れの緩やかな場所を泳いでいることが多いです。探したい生きものの生態を事前に調べておくことで、より効率的に生きものを探すことができます。
3.3 捕まえた生きものの観察
捕まえた生きものを触る場合は、必ず濡れた手で触りましょう。人間の体温は高いので、生きものが火傷してしまうことにもなりかねません。観察する場合は、バケツに入れて観察しましょう。また、100円ショップでも購入できる観察用水槽は、長時間入れておくことはできませんので、観察したらバケツに入れたり逃がしてあげましょう。バケツには、生きものが呼吸できるように、水草や石を入れておくのが良いでしょう。 また、直射日光を避けて、涼しい場所に置いておくことも大切です。
観察が終わったら、捕まえた生きものは元の場所に逃がしてあげましょう。生きものを持ち帰ってしまうと、生態系に影響を与える可能性があります。自然環境保護のためにも、必ず元の場所に逃がしてあげましょう。
4. ガサガサで出会える生きものたち
ガサガサでは、様々な生きものたちと出会うことができます。地域や環境によって見られる生きものは異なりますが、ここでは代表的な生きものたちをいくつかご紹介します。
4.1 魚類
ガサガサで最もよく出会う生きものの一つが魚類です。小魚から比較的大きな魚まで、様々な種類が生息しています。
名前 |
特徴 |
メダカ |
小川や水田などに生息する代表的な小魚。しかし、近年は外来種のカダヤシが多くなっています。 |
ドジョウ |
泥の中に潜る習性を持つ魚。 |
オイカワ |
銀色の体と赤いひれが特徴。流れのある川に生息。 |
カワムツ |
オイカワに似ているが、体側の線が不明瞭。 |
フナ |
池や沼などに生息する、比較的大きな魚。 |
4.2 甲殻類
エビやカニなどの甲殻類も、ガサガサでよく見かける生きものです。
名前 |
特徴 |
ヌマエビ |
透明な体を持つ小さなエビ。 |
アメリカザリガニ |
赤い体と大きなハサミが特徴の特定外来生物。捕まえたものを別の場所に逃がすことは法律違反です。 |
サワガニ |
川の上流などに生息する、小さくて丸いカニ。 |
4.3 水生昆虫
水生昆虫は、水中で生活する昆虫の総称です。ガサガサでは、幼虫や成虫の姿を見ることができます。
名前 |
特徴 |
ヤゴ |
トンボの幼虫。種類によって形や大きさが異なる。 |
ゲンゴロウ |
水中を泳ぐ甲虫。大型の種類は数が減っている。 |
タガメ |
水生昆虫の中でも最大級の大きさ。絶滅危惧種に指定されている地域もある。 |
ミズカマキリ |
カマキリに似た姿をしているが、カメムシの仲間。 |
4.4 その他の生きもの
魚類、甲殻類、水生昆虫以外にも、ガサガサでは様々な生きものと出会うことができます。
名前 |
特徴 |
イモリ |
水辺に生息する両生類。赤い腹部に黒い斑点がある。 |
カエル |
水辺でよく見られる両生類。オタマジャクシからカエルへと変態する。 |
ヒル |
水田や沼などに生息する環形動物。一部の種類は吸血する。 |
上記以外にも、地域によっては様々な生きものが見られます。図鑑などを参考に、どんな生きものがいるのか調べてみるのも楽しいでしょう。環境省のウェブサイトでは、絶滅危惧種や外来種について掲載されているので、事前に確認しておくと、より安全に配慮したガサガサを行うことができます。
5. 場所の確認と許可について
ガサガサを行う場所によっては、立ち入りが制限されていたり、特別な許可が必要な場合があります。活動する場所について、事前に以下の方法で情報を収集し、適切に対応しましょう。
確認を怠ると、思わぬトラブルに巻き込まれたり、法律に抵触したりする可能性があります。ルールとマナーを守り、周囲の環境や人々に配慮しながらガサガサを楽しみましょう。
5.1 施設管理者や地域の自治体への確認
公園内の池や川、河川敷など、管理者がいる場所であれば、管理事務所や地域の環境部局、観光課などに直接問い合わせるのが最も確実です。ウェブサイト等でルールが公開されている場合もあります。
特定の施設(例:キャンプ場、自然体験施設など)内でガサガサを考えている場合は、その施設の公式サイトや問い合わせ窓口で確認しましょう。
河川の場合、国土交通省や都道府県の河川管理部局のウェブサイトで、遊泳禁止区域や立ち入り制限区域などの情報が公開されていることがあります。
漁業権については、農林水産省のウェブサイトで基本的な情報が確認できますが、具体的な地域の漁業権については、都道府県の漁業協同組合(漁協)や水産担当部署に問い合わせるのが良いでしょう。地域の漁協のウェブサイトで、遊漁券の要不要や対象魚種、禁止事項などが記載されていることがあります。
5.2 立ち入り禁止区域の確認
現場に「立ち入り禁止」「釣り禁止」「採取禁止」などの看板がないか、必ず確認しましょう。看板がある場合は、指示に従ってください。
柵やロープで区切られている場所も、立ち入り禁止区域である可能性が高いです。
5.3 私有地の確認
明らかに個人宅の裏を流れる小川や、耕作地に近い水路など、私有地である可能性が高い場所では、必ず所有者の許可を得てから入るようにしてください。無断で立ち入ると、不法侵入となる可能性があります。
周囲の状況をよく見て、誰かの所有物や管理地ではないか判断することが重要です。
6. 生きものの扱いと自然環境への配慮
捕まえた生きものは、観察が終わったら元の場所に逃がしてあげることが重要です。生きものを持ち帰ると、生態系に影響を与える可能性があります。
網を振り回したり、川底を強くこすったりすると、生きものを傷つけたり、川底の環境を破壊したりする可能性があります。優しく扱うことが基本です。
これらの注意点を守りながら、ガサガサを通じて自然の豊かさや生きものの多様性を体感し、環境保護への意識を高めるきっかけにしてください。
7. まとめ
子どもから大人まで楽しめるガサガサ。たも網一つで水辺の生きものと触れ合える、手軽で魅力的な体験です。この記事では、安全なガサガサのための準備や注意点、生きものの探し方、観察方法などを紹介しました。危険な生物や天候に注意し、許可が必要な場所では必ず確認を行いましょう。適切なたも網の使い方をマスターすれば、より多くの生きものと出会えるはずです。ガサガサを通して、自然の豊かさや生きものの多様性を体感し、みんなで環境保護への意識を高めていきましょう。